青森市にある「オーサワのとろろ昆布(がごめ入）」の仕入先である「福井水産加工場」。
「福井水産加工場」はJR青森駅から100mほどのところにあり、そこからさらに50mほどいくと青森港があリます。
港周辺には東北新幹線開通に合わせてオープンした新しい観光施設が立ち並び、美しい陸奥湾などを一望できます。

終戦後間もなくして昆布加工の仕事を始められたのが始まりです。
最近は三浦さんの息子さん二人も加わリ、家族4人ですべての仕事をこなしているそうです。
創業当時から昆布の品質にとことんこだわリ、昆布そのものの旨みをいかす無添加製法を大切に受け継いできています。
近年は原料の昆布の価格が上がってきていますが、昆布の品質を落としたり、価格をべらぼうに上げたりして、昔ながらのお客様をがっかりさせるのだけは避けたいと話されていました。
「家庭内手工業」でやっているから、なんとかやっていけるそうです。

柔らかすぎない絶妙な食感、昆布の香りがふわっと鼻を抜け、旨みがしっかりとロに残る。
一般に売られているとろろ昆布は、ふわふわ柔らかく、昆布が香る前に、酢の酸味がつんと鼻にくる。この違いはなんだろう。
一般には変色防止などの目的のために、原料の昆布を酢に漬ける。等級の低い昆布を使うと、旨みを補うため、さらに化学調味料を加えることもある。
また昆布がペラペラと薄いので、とろろ昆布にしたときにふわふわと柔らかく仕上がるとのことでした。
福井水産加工場では作リ置きせずに必要な分だけその日につくって出荷するので、酢を使う必要がないのだそうです。
原料の昆布には、旨味の多い青森産真昆布と、粘リのある北海道産がごめ昆布を合わせています。
これも長年受け継がれてきた配合です。

シンプルな商品だからこそ、素材のよさ、長年受け継がれてきた伝統製法が最終商品の味を大きく作用するのだと改めて感じました。
思いのほか重労働な作業を細腕の女性二人でこなすのはさぞ大変なことでしょう。
しかし、常に明るい三浦さんと佐藤さん。「オーサワのとろろ昆布」は、二人の女性の強さに支えられているのでした。

左）佐藤さん、右）三浦さん

昆布を圧縮する機械で選別した昆布を積み上げ、上から圧力をかけておしつぶす。

すると、昆布がミルフィーユ状に圧縮されます。

圧縮した昆布を横にして削り機にセットし、削り取ります。

ちょうど昆布ミルフィーユを縦に薄くスライスしていく感じです。

昆布は等級が高いほど厚みがあります。

とろろ昆布はこの断面を削り取っていくわけなので、原料によい昆布を使うほど、色の薄いとろろ昆布になるそうです。

昆布の削り具合を常に見定め、頻繁に機械の刃の調整をする必要があり、１回５０ｋｇの昆布を削るのに、１０回以上刃を研ぐとのことです。

また、使用している機械は３５年以上、大切に使い続けてきたものだそうです。

手間ひまかけて、とろろ昆布が完成！